地方公務員の未来は?
人気のある地元の公務員試験。ただ、あなたはこれから先のことを考えて志望しているでしょうか?
今回は地方自治体を志望するときに、知っておきたい実情をお話ししたいと思います。
人・事業者の奪い合い
地方自治体は国からの補助金とそこに住んでいる人や事業者の税金によって運営されています。人が増えればショッピングセンター、病院、保育園などの施設を運営する事業者も増えますから、自治体に活気が生まれます。特に若い世代の人たちは家庭を持ち子育てをする場合も多く、若い人たちの移住を支援するのはそれが理由です。いっぽうで人気のない自治体では人口が減り、街は錆びれていきますから、そこで働く公務員の給与も減ります。しかし人口が減っても市民サービスを無くすわけにはいきません。生徒が1人でもいれば学校は運営されますし、離れた集落に人が一人でも住んでいれば、そこへの水道や下水道を維持しなければなりません。公務員になればリストラはありませんが、収入が少ない自治体は定年退職ごとに人が減り続け、残った職員の仕事を圧迫していきます。
どんどん増えるお年寄り
あと20年もすれば、国民の3人に1人が65歳以上のお年寄りになります。あなたがどこかの市役所に勤めていたとしたら、来庁者のほとんどがお年寄りなることを覚悟したほうがいいでしょう。そんな状況になった時の行政サービスをする側の立場を考えたことがありますか。お年寄りに難しい手続きを説明しなければならないことが日常になります。認知症になる人も多くいます。今の状況よりももっと手間のかかる、ケアの必要な状況になっていきます。
議会がなくなる
自治体の収入が減れば選挙で選ばれた議会の議員の給与も減ります。すでに議員報酬が月数万円しかない、ボランティアのような市議会はたくさんあります。議会はそこに住む人たちの声を聞き、民意を形にする場として機能します。もしそれが機能しなくなると、地方自治全体の危機が訪れます。
このように地元に就職すると、このような課題と向き合って行かなければなりません。でも少子化や高齢化の問題は地方自治体に限った問題ではなく、日本全体の問題です。だからと言って他人任せのような意識でいれば必ず将来後悔することになりますから地方自治体で働くことを考えている人は、これらの問題を念頭に置いておく必要はあるでしょう。